自己愛性パーソナリティ障害者の一番特徴的なスタイルが、
「自己愛憤怒」と言う怒り方です。
簡単に言うと、生存が脅かされたり、犯罪まがいのことに対する生理的怒りではなく、
「もっと大事にされて当然なのに! なんでわかんないの!」という怒りのこと。
現代人の怒りや、キレる、無視の原因の大半はコレだと思いますが、どうでしょうか。
前回記事の夫婦喧嘩が子供に与える影響は、
まさに自己愛と自己愛が一歩も譲らない状況で起こる悲劇です。
自己愛パーソナリティ障害のサラブレッドです(・・;)
さて、私の両親はタイプは違いますが両方とも自己愛性パーソナリティ患者です。
私は自己愛性パーソナリティ患者のサラブレッドなのです!!
って何の自慢にもなりませんが、自己愛のことは結構わかるつもりです。
両親が自己愛で自己愛として育てられたので、自己愛の半魚人みたいなものです。
父は一般的な「無関心型」に近く、さらに言うと若い時は「エリート主義型」で、
病気になって自己不全感が増してからは「代償的ナルシスト」でした。
母はDV家庭で育ち、発達障害やトラウマ体験や解離も入った複雑系パターンですが、
他人に触られるのが嫌いで性的奔放さはない「好色的ナルシスト」です。
自己愛が高まってくると、人もモノ扱いする
自己愛が強い人は、それが障害のレベルまで達していなかったとしても、
他人を心の奥底ではモノだと思っています。
利用価値があるかないか、面白そうかどうか、隣にいて自分が恥ずかしくないか。
人格障害者レベルでは5歳くらいから、付き合う人間の選び方も異常になります。
自分を上げてくれるモノ。だから美人の母は三高の父と当然のように結婚しました。
そして年齢的に、なんとなく、私が生まれた。
でも、赤ん坊は言うことを聞きません!
共感力や、自己愛じゃない人類愛と言う意味での「愛情」を持たない彼らは、
赤ん坊をどうしていいか分からず、モノとして扱うことにしました。
「しつけ」という名の、調教
それで行われたのが、「しつけ」という名の調教でした。
愛車を改造したり、家をリフォームするのと同じ感覚ですね。
自分好みでないと、当たり前のように激怒し、ヒステリーを何時間でも起こし、
0歳児を「夜泣きがうるさい」と夜通しトイレに監禁し、
3歳児相手に正論を何時間でも説き、「死ぬ」「殺す」と脅しました。
私はこういう家庭しか知らないので、何とも思いませんが、どうやら虐待みたいですね。
でも両親は最後まで「自分は素晴らしいしつけをした、素晴らしい親」と信じています。
何度か話し合いを試みましたが、まるで議論にならず、もう完全に諦めることにしています。
街で見かける自己愛親たち
街中でも、「え、そんなことでキレなくても……」みたいな親をみかけます。
大抵の場合、両親も子供も身綺麗で、見た目はCMにいそうな良い家族。
だけど目が笑っていなくて、両親は世間体や見栄のために子供を叱り飛ばしている。
まるで騎手がサラブレッドをムチで叩いているように、厳しい言葉がポンポン出る。
「きっとあの子、思い通りにならないと、馬刺しにされちゃうな……」と、
注意したいけれど自己愛憤怒が強すぎて何も言えない小心者です。
もう一つ温泉でよく見かける光景です。
乳幼児は成分が濃い温泉を生理的に嫌がるし、
熱いお湯は体温の急上昇を招くので危険です。
それなのに、すさまじい声で泣き叫ぶオムツをした子供を湯船に沈めるママたち。
「○○ちゃん気持ちいいね」「ママもっと入りたいもん、我慢よ」
どっからどう見ても自己愛性パーソナリティ女の虐待なのですが、
200%の善意がその笑顔に張り付いていて、とても注意できません。
女性に自己愛が増えている実感
ことほどさように、学歴社会と核家族化、消費社会の子供への浸透により、
自己愛的な人、つまりナルシストはかつて男性がメインだと言われていましたが、
最近では女性にも非常に非常に多いです。むしろ女性の方が多いと思うくらい。
インスタに小っ恥ずかしいキメキメ自撮りを上げるのは大抵女性ですね。
自己愛サラブレッドの私ですらあんな恥ずかしいこと出来ません。
以前は大人同士の自己愛さんの治し方を書きましたが、

今回は自己愛さんが親になっちゃった場合のことを書きます。
自己愛性人格障害の子供はどうなるの?
自己愛さんは自分の理想を異常なほどしつこく、脅しもいとわず押しつけます。
だからほぼ間違いなく、子供は一旦は自己愛性パーソナリティ障害になります。
だって親に強制されていて、従わないと自己愛憤怒(しつけ)でブチのめされるので、
怖くて怖くてたまらないから自己愛のフリをします。
そういえば、偉そうないじめっ子の母親って、
すごい打率で「若作り」じゃなかったですか? ケバかったりミニスカ厚化粧だったり。
あれは子供にも自己愛を押し付けてるから、子供も性格がひん曲がっているのだと思います。
私が自己愛の世代間連鎖から抜け出した理由
ただ、私は自己愛性パーソナリティという人格が、体質に合いませんでした。
ここはまだトラウマ的に思い出せていないところで、分析不能ですが、
おそらく私には「甘え」という概念がそもそも備わらなかったためと思われます。
両親が自己愛全開で、胎児の時から死ぬ殺す殺されるの歌舞伎舞台みたいな日常でしたから、
私は常に公正公平な裁判官でいざるを得ませんでした。
夫婦喧嘩が子供に与える影響
自己愛とは甘えの一形態という分析もあるので、
私は自己愛的ではあるけれど、人格障害になるほど極められなかったんだと思います。
どの親がパーソナリティ障害かによって、子供の発現率を考えてみる
だから、まとめるとこうなります。
・両親共に自己愛傾向が強く、パーソナリティ障害の次元で、激しい「しつけ」をした
→子供は複雑性PTSDまっしぐらではあるが、甘えることをそもそも教わらないので、
子供自身は病気まみれになるが、他罰的というより自罰的になる。
そのため、自己愛性人格障害が世代間で連鎖しない可能性がある
・片親だけが自己愛性パーソナリティ障害で、片親はまともだった
→子供は先天的に似た体質の親の真似をしがちなので、
攻撃的な気質の子は自己愛性が遺伝し、バリバリの無関心型になりやすい。
防衛的な気質の子は自己愛性であっても過敏型になりやすく、
大人しい性格で見た目には分からない。特に女性はほぼ判別不能。
ただし、あまりに空想世界(アニメや理想イメージ)に逃げすぎたり、
中途半端に運動や学業や容姿で優れていると、自己愛は人並みはずれて爆増してしまう。
自己愛憤怒から虐待や犯罪に突然手を染める可能性に注意が必要
というのが私の個人的分析です。
カーンバーグとコフートによる治療論について
私はどちらがおっしゃることも、ちょっとは理解できます。
分かりますが、ここではオリジナルに書かせてください。
・理想化
理想化は普通の発達の人も行う当然の行為です。誰でも希望を持ちます。
ただ、それが「優勝劣敗」「虚栄心」による理想化だった場合、それは病気です。
「飲食の社長になって美味いものたくさん食べたいんだ!」は素敵な夢だと思いますが、
「女にモテて見せびらかすために社長になるんだ!」は病気入ってますよね。
その理想化は「犠牲となる他者」がいて初めて達成される、とても鬼畜な理想なので、
そのことをきちんと患者に説明していく必要があります。
・原因
攻撃性が高く、要求(自己主張)が強く、報酬系(ドーパミン)が過敏で生まれてきたのに、
親が十分に愛着を築けず、不足不満を感じて育ったことが原因と考えます。
ただし、身体が弱かったり、知的にハンディがあると、自己愛レースから脱落します。
本気の自己愛性パーソナリティ障害者(無関心型)として堂々と生きられるのは、
身体が強く、頭もそこそこ、容姿もそこそこ、コミュ力もそこそこの勝者です。
なにか劣等感を抱えた人は、途中で過敏型という見えにくいタイプに移行し、
子供や部下など「弱いやつ」ができると豹変し、突然激しく虐待し始めます。
・治療
「親になんて言われて育ったの?」と、治療者が聞くのが一番早いと思います。
私だったら、「一番以外は生きている価値もない」と口汚く罵られて育ちましたから、
「一番じゃなくても十分個性的で、素敵だよ」が一番刺さる殺し文句になります。
それは各家庭で全然違いますから何とも言えませんが、
周囲の自己愛くん/自己愛ちゃんに効いたキラーフレーズをいくつか挙げます。
例)「親に言われたという言葉」→「キラーフレーズ」
「きょうだいに比べてすごいわね」
→「比べなくてもすごいよ!(具体的に) 自分が好きなことやるべきだよ(比較への執着を捨てさせる)」
「私たち親にくらべて、あなたは天才だわ」
→「その両親こそ偉大じゃない? その謙虚さ、素敵だと思うな(原点回帰)」
「俺みたいな立派な稼げるエリートになれ」
→「お父様は社会人として立派だけど、親として本当に立派だったと本当に思う?」
「東大に行け! 学歴がなければ食い殺されるぞ!」
→「あなたの魅力は学力そのものより、応用力だよ。東大はコミュ障多いから行かなくて正解だよ(脱洗脳)」
「お前は出来損ないだ、(女子なら)ブスだ、うちの子として認めない!」
→「親元を離れな。そして頑張りすぎるのやめよう。一緒にヨガいこうよ(自罰をゆるめる)」
「俺/私みたいな完璧な人間になれ。自分で考えろ」
→「それ、なにがゴールだと思う? 無理ゲーって気づいた?」
という個別分析があった上で、洗脳を解き、育て直しが必要です。
あの記事を書いた当時は私もまだ記憶があいまいでしたが、やっとパズルのピースが埋まってきたので、補足です。
まとめ
つまり、なんとなく似ている、自己愛と「しつけ虐待」というのは、やはり同じ根っこなのです。
その名も「自己愛憤怒」。もっと私を見て! 大事にして! 言わなくても言う通りにして! という怒り。
3歳児がママに要求する、あれやってこれ分かって、を、
回避型愛着スタイルのせいで弱いモノいじめとしてぶつけるのが自己愛性パーソナリティ障害。
見境なくぶつけ、パニックになると自傷も厭わない無秩序さんが、境界性パーソナリティ障害。
「会いたくて会いたくて震える」とか青山テルマ系は不安型愛着障害。通称メンヘラ。
それが常人には理解不能なほど激しく、時に暴力や刃物沙汰になるので、
とても理解できないだけで、あれはやはり「傷つけられた防衛」なのです。
それでも虐待は防衛である!
だから「夜泣きがうるさい」というのは、自己愛者には「睡眠への攻撃」と映ります。
当然の結果として怒りが爆発し、制裁を加え、虐待(うちは監禁)します。
これが正当防衛としての「しつけ」。
世間一般では乳幼児虐待ですが、本人たちはあくまでも「必要悪」「仕方なかった」。
うちの親には悪気なんて1ミリもないです。当然の結果ですから。
これが自己愛性パーソナリティ障害の人とは会話が一切噛み合わない理由です。
現場の先生や保育士さんがお困りだと言う話はしょっちゅう聞きます。
明らかに異常行動をしている子供の親に注意すると、
ママ「うちではこれがしつけなんです!!!」と訳わからんことを言う人間が多いと。
これは自己愛憤怒です。
結論ナルシストは人の親になる前に、自分の親になるべし
私は強すぎるほどの親の「自己愛洗礼」を受け、
まだ洗脳が完全に溶け切るまでは親になる資格はないと思っています。
正直、同世代を見ていると、立派な親がほとんどですが、ごくごくたまに
「お前、親になるまえに、自己愛治せよ!!!!」と思う人がいます。
はっきり言います。
自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害者)は親になるべきではありません。
男性は特に社会的経済的地位があるから、女性が寄ってくるでしょう。
だから結婚する分には構いません。男女の付き合いならいつでも解消できますから。
でも子供は作らないでください。親子の縁は簡単には精算できません。
自己愛男は自己愛女を手に入れようとします。
いわゆるトランプ夫妻に見られるような「トロフィーワイフ」ですね。
美貌と教養を持った女を手に入れたぜ! と思ったら……
その女もまた自己愛中毒者で、子育てになると目の色を変えて鬼調教師になるかもしれません。
もちろんその逆も。自己愛女は自己愛男に惹かれます。
子供はちょっとまってください。サバイバーとして、切実にお願いします。
少子化なんて自己愛性人格障害者以外が一致団結して取り組めばなんとかなる!
これ以上不幸な子供を量産しては、少子化以前に日本は住めない国になりますよ。
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